高齢者が転倒したからといって必ずしも大腿骨頚部骨折になるとは限りません。
ただし、ずれの小さな亀裂骨折、いわゆるひびが入っただけの場合もあります。ひびだけの場合は、何とか立つことも出来ますし、場合によっては伝い歩きもできます。しかし、例えひびであっても、痛みが伴いますしので、歩行を嫌がるようになり、結果として骨折と同じような機能障害を引きおこすことになるので、びびの場合でも治療を受けてください。
特に注意が必要なのは、痴呆症などがある場合です。本人は痛みを感じてはいますが、もともと車いす生活であったりしてうまく症状として見えてきません。そのため大腿骨近位部骨折かどうかの判断が難しくなります。しかし、だからといってそのままにしておくと、貧血、循環不全などを引き起こすなど生命にもかかわってきますから、介護されている方が、移乗時などに痛みで声をあげる、足を動かしたがらないなどの症状から判断して病院へ連れて行くようにしてください。
福井智一氏
医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科