大腿部とは、いわゆる“ふともも”のことです。触ってみると分かりますが、ふとももには太い骨と筋肉が付いています。特にヒトの場合は、上半身を支え、かつ歩行するのに使う重要な部位です。ふとももの損傷は、筋肉などにも起こりますが、骨折する場合もあります。もし骨にひびが入ったり折れたりすると、たいていの場合、痛みがひどくて歩くことができなくなります。
ふとももに入っている骨は「大腿骨」といい、股関節と膝関節の間にある長いもので、四足または二足で歩く動物のほぼ全てにあります。ヒトをはじめ哺乳類の身体にある骨の中では最も長く、また体積も大きいものです。
この大腿骨は、その解剖学的特徴から股関節側(上側)から順に①大腿骨頭、②大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ)、③大腿骨転子部および大腿骨転子下、④大腿骨骨幹部、⑤大腿骨顆部(だいたいこつかぶ)と呼ばれます。
これらの中で最も注意しなくてはいけないのが、今回取り上げている②③の大腿骨近位部の骨折です。
福井智一氏
医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科