知っておきたい!対処方法~大腿骨近位部骨折編~

役割と予防

大腿骨近位部骨折は、一刻を争う病気ではありません。
しかし、治療が遅れると生命に関わるため、早急な治療が必要です。

大腿骨近位部骨折編

(1)大腿部とその骨折について

大腿部とは、いわゆる“ふともも”のことです。触ってみると分かりますが、ふとももには太い骨と筋肉が付いています。特にヒトの場合は、上半身を支え、かつ歩行するのに使う重要な部位です。ふとももの損傷は、筋肉などにも起こりますが、骨折する場合もあります。もし骨にひびが入ったり折れたりすると、たいていの場合、痛みがひどくて歩くことができなくなります。

ふとももに入っている骨は「大腿骨」といい、股関節と膝関節の間にある長いもので、四足または二足で歩く動物のほぼ全てにあります。ヒトをはじめ哺乳類の身体にある骨の中では最も長く、また体積も大きいものです。

この大腿骨は、その解剖学的特徴から股関節側(上側)から順に①大腿骨頭、②大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ)、③大腿骨転子部および大腿骨転子下、④大腿骨骨幹部、⑤大腿骨顆部(だいたいこつかぶ)と呼ばれます。

大腿骨近位部

これらの中で最も注意しなくてはいけないのが、今回取り上げている②③の大腿骨近位部の骨折です。
ここに起きる骨折は、大きく分けると股関節包(股関節をとりまく袋)の中でおきた頚部骨折(内側骨折)と、関節包の外でおきた転子部もしくは転子下骨折(外側骨折)があります。ちなみに頚部は血流が乏しい場所なので、骨折の治りが悪く遅延します。逆に、転子部は栄養血管が豊富で比較的治りやすい場所です。このため両者には手術方法、リハビリテーションに違いがあります。

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執筆者の紹介

福井智一氏

福井智一氏

医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科

昭和51年大阪生まれ
兵庫医科大学卒業

兵庫医科大学大学院を卒業後、兵庫医科大学整形外科学教室や北海道我汝会えにわ病院などを経て2012年4月から現職。
専門は股関節を中心とした関節外科