知っておきたい!対処方法
~膝の手術後のリハビリテーション~

高位脛骨骨切り術とは

O脚を原因とする膝の変形を改善する手術

膝の手術後のリハビリテーション編

(2)O脚を直すための手術が「高位脛骨骨切り術」

変形性膝関節症に対する治療方法はいくつかありますが、O脚が原因で膝の痛みを抱えている初期から中期の場合に行う手術的治療の1つに「高位脛骨骨切り術(HTO手術)」があります。

O脚の場合、膝の内側(内側大腿から脛骨関節にかけて)に余分な負担がかかっているわけですから、その原因を取り除くために行うものです。なお、対象となるのは変形の程度がまだ軽く、活動性の高い方で、年齢制限は特にありません。

高位脛骨骨切り術は、一口で言うと、内側大腿から脛骨関節に偏っている自分の骨を切り、少し角度を変える手術です。膝へのストレスがかかっていない外側大腿から脛骨関節には、まだ軟骨が残っているため、負担する位置を移動させることで、骨同士の接触を避けることができるようにします。

具体的には、O脚に変形した脚のすねの骨を切ります。そして、傾きを変えて、逆に少しX脚の状態にします。なお、固定のためにプレートを用いていますが、膝関節は温存されるため、治れば正座をしたり、運動したりすることも可能になります。

膝の手術の図

傷んで変形した膝関節の表面を取り除き、人工関節に置き換える「人工関節置換術」と比較すると、自分の骨を残すことができるのはもちろん、十分な可動域を保つことができますし、スポーツが可能になるなどのメリットがあります。ただし、手術は誰にでもできるわけではなく、外側の軟骨が十分に残っている人だけが対象となります。通常、膝への負担の場所が変わることで、磨り減った内側の関節軟骨への負担が減少して、軟骨が残っている外側の関節で体重を支えるようになるため、だんだんと膝の痛みは和らいでいきます。

もちろん、きちんと機能を回復させるためには、ただ手術をすればいいというわけでなく、術前・術後のリハビリテーションをしっかり行う必要があります。

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膝の手術後のリハビリテーション編
― 高位脛骨骨切り術とは ―

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監修

中山 寛 氏

中山 寛 氏

兵庫医科大学  整形外科 助教

昭和52年生まれ

医学博士、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本体育協会認定スポーツ医、専門はスポーツ整形外科、下肢関節鏡手術(股関節、膝関節、足関節)。