実際、足の付け根や腰などが痛くなった時に、ヘルニアだと診断された方も多いのではないかと思います。しかし、ヘルニアという言葉を聞いたことがあり、それが病気であることは分かっていても、実際には、どんな病気なのか正確に知っている人は少ないかも知れません。
「ヘルニア」は、図のように腸などが『脱出』した状態を言う
ヘルニアとは、もともとはラテン語で『脱出』を意味する言葉です。これで分かるように、体内にある臓器が、何らか原因によって、周りの組織の圧迫に耐えられなくなり、組織の柔らかいところから外に『脱出』してしまう状態と、そして飛び出してきた臓器などを総称して「ヘルニア」と呼んでいます。
ヘルニアは身体の各所で起こります。そのため、単にヘルニアと呼ぶだけでは、どこに起こったヘルニアか分からないことから、例えば、足の付け根(鼠径:そけい)にできたヘルニアは「鼠径ヘルニア」、椎間板にできたヘルニアは「椎間板ヘルニア」といったように、部位+ヘルニアという呼び方を一般的にはします。
そのヘルニアが起こる原因ですが、人間の臓器が『浮かんでいる』ために起こります。つまり体内で臓器は、重力に逆らっているわけですが、それが可能なのは、臓器が筋肉や各種の膜などによって支えられるからです。臓器はそれらに支えされることによって、それぞれが『あるべき位置』に留まっていられます。
ところが、何らかの原因で、その筋肉や膜の力が弱まったりすると、臓器からの圧力が集中するようになり、そこが破れたり綻びたりします。その結果、元の位置から臓器は『脱出』してしまい、そして、脱出した際に神経を圧迫し炎症を起こすことで痛みが生じるようになるわけです。