知っておきたい!対処方法~大腿骨近位部骨折編~

大腿骨近位部骨折のリハビリテーション

大腿骨近位部骨折は、一刻を争う病気ではありません。
しかし、治療が遅れると生命に関わるため、早急な治療が必要です。

大腿骨近位部骨折編

(1)手術後は早期の離床を目指す

手術後は、傷の痛みや、疲労が必ず起こるものだと思っている方が多いため、翌日からの歩行許可などにびっくりされる方が少なくありません。もちろん手術の大きさにより違いはありますが、 最近は疼痛管理も重要視されており、様々な方法が取り入れられ、術後の痛みはかなりコントロールできるのでご安心下さい。痛みと言うよりも手術の部位が重だるく感じる程度です。

疼痛管理が発達したので手術の目的のひとつである、早期離床が可能となって来ました。早期離床の最大の利点は、ベッドから離れる行為自体が全身の筋肉を使うという点です。全身の筋肉を使うと、体の中に流れる血流も早くなり、全身の臓器に刺激がおこり、機能が回復しやすくなります。つまり、寝たきりにともなう、痴呆の進行、関節の固さ(拘縮)、筋力低下、免疫機能低下、その他多くの合併症が防げる訳です。それが可能であれば、怪我をした後や、手術した後に起こりうる様々な合併症を大きく予防でき、スムーズに、リハビリテーションという大切な治療に移行できる訳です。

ただし、大腿骨近位部骨折は、時間をおかず適切な処置をすれば基本的には予後は良好ですが、全員の方が順調に回復するわけではなく、中には手術までの待機期間が長かったり、手術は成功しても合併症が起こったり、痛みがなかなかとれなかったりする方もいて、歩行ができない場合もあります。

大腿骨近位部骨折のリハビリテーション

しかし、繰り返しになりますが、大腿骨近位部骨折におけるリハビリテーションはできるだけ早く取り組む方がよく、もし痛みを我慢できれば、手術前であってもなるべく上半身は起こす方がいいいですし、上肢や骨折していない足の運動もした方がいいといわれています。
いずれにしましても、早期の離床を目指すのがいいことは間違いありません。

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大腿骨近位部骨折編 ― 大腿骨近位部骨折のリハビリテーション ―

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執筆者の紹介

福井智一氏

福井智一氏

医療法人医誠会
医誠会病院
整形外科

昭和51年大阪生まれ
兵庫医科大学卒業

兵庫医科大学大学院を卒業後、兵庫医科大学整形外科学教室や北海道我汝会えにわ病院などを経て2012年4月から現職。
専門は股関節を中心とした関節外科