検査により乳がんだと分かった場合は、すぐに治療を行わなくてはいけません。なお、他の部位に発生するがんよりも乳がんは、治療後の経過が良いといわれています。
乳がんの主な治療方法としては、外科治療、そして放射線治療や抗がん剤治療、ホルモン治療などが挙げられます。
治療に当たっては、例えば、非浸潤がんか浸潤がんか、がんの大きさはどれくらいか、リンパ節転移はあるかなど、それぞれのがんの状態を診て判断されます。外科手術が中心になりますが、他の治療と組み合わせて行われる場合もあります。特に最近では、手術前に化学療法やホルモン療法などを行って、がんを小さくする「術前療法」も行われるようにもなってきています。
外科治療は、一般的には、全ての乳房を切除する「乳房切除術」と乳房の一部だけを切除する「乳房部分切除術(乳房温存療法)」があります、しかし最近は、乳房全体を占めるような巨大なものや乳房の皮膚全体に広がるような「炎症性乳がん」などを除けば、乳房部分切除術が選択されるようになってきています。また、胸の筋肉は温存して腋の下のリンパ節を全て切除する手術が行わることがありましたが、最近の研究では、術前に画像診断などでリンパ節に転移がないと診断されたならば、全てのリンパ節の除去は必要ないということで、リンパ節は残されるようになっています。
ちなみに、本稿の監修者である仁尾クリニックでは、日帰り手術と外来化学療法を中心にした治療が行われています。また、2010年からは、センチネルリンパ節の転移診断のための術中迅速病理診断に代わって、OSNA(One-step Nucleic Acid Amplification:癌遺伝子解析システム)を導入し、短時間でより精度の高い転移診断が可能となっています。