脳卒中になった時の症状や後遺症の主な種類としては、「高次脳機能障害」や「運動障害、感覚障害、言語障害など」、そして「気分障害など」が挙げられます。
高次脳機能障害は、大脳半球の皮質および白質の病変を原因として、言語や記憶、思考、行為、学習、注意などに障害が起こってしまった状態を言います。特徴としては、『見えざる障害』と呼ばれることがあるように、身体に症状がでるような目に見えるような症状でなく、その人の行動が阻害される場合です。高次脳機能障害は、脳卒中以外の病気でも起こりますが、脳卒中で多くみられるのは、言葉や記憶、行為、認知の障害などです。
そして神経障害は、その言葉どおりに脳の神経が麻痺したことが原因で引き起こされる身体機能に起こる障害のことです。これも脳卒中以外でも起こる場合がありますが、脳卒中でよくみられるのは、言語や運動、感覚、視野の障害です。また、排泄や嚥下の障害が起こる場合もあります。
そして、気分障害は、その名のとおりに、感情が不安定になる障害です。理由もなくイライラしたり、怒りっぽくなったり、逆に気分が沈んだり、意欲が低下したりするなどの症状が現れます。この障害には、気持ちの落ち込みが長く続き、心の持ちようや精神力がコントロールできなくなる、いわゆる「鬱病」も含まれます。
正門 由久 氏
<リハビリテーション科専門医>
東海大学医学部 専門診療学系 リハビリテーション科学 教授