脳卒中で見られる運動障害の中で最も多いのが、身体の左右どちらかの半分がマヒする「片麻痺(片マヒ)」です。身体の片側にマヒが残ると、日常生活に大きな影響が出ます。そこでリハビリテーションは、それらの回復を図り、最終的には社会生活への復帰を目指します(これらのリハビリテーションを「理学療法」「作業療法」と呼びます)。
一般的に脳卒中のリハビリテーションは、回復の段階に合わせて「急性期」「回復期」「維持期」の3段階に分けられます。
これらの中で「急性期」のリハビリテーションは、最も初期に行われるものです。
急性期とは、発症してから2週間ぐらいまでの期間を指します。まだ症状が落ち着いたぐらいの段階ですが、人間の筋肉は使わないでいると、どんどん衰えていくことから(これを「廃用性筋萎縮(はいようせい きんいしゅく)」といいます)、リハビリテーションも、少しでも早くから行う方が、効果があるといわれているため、できるだけ早く開始されます(海外の例によれば、発病後2~5日で始めるのがいいとされています)。
具体的には、まずベッドから出て、立ったり坐ったりを繰り返すことから始めます。ただし、心臓病や血圧変動などが起こるお可能性があることから、それらの専門医の指示を受けながら行う必要があります。続いて、杖歩行、階段訓練と進んでいきます。上手くいけば、マヒが見られる患者さんでも4週ぐらいで歩行が自立する場合もあります。
池永 透 氏
畷生会脳神経外科病院
脳神経外科 部長